NEWSニュース

QRコードはもう古い、アリババやテンセントが進めるのは「顔認証決済」

キャッシュレスが進んでいる中国では「脱QRコード決済」の動きが起きています。

中国の街中消費での決済手段が、スマートフォン決済になっていることはすでによく知られている。アリペイ(アリババグループのアリペイが運営)とウィーチャットペイ(テンセントが運営)の2つが主に使われ、QRコードを使って決済をすることから、俗に「QRコード決済」と呼ばれる。 

 経済産業省の資料によると、日本のキャッシュレス比率は19.8%(2016年)であるのに対し、中国では60%(2015年)となっている。このデータはやや古く、現在の大都市部では90%以上の決済がキャッシュレスになっている印象だ。紙幣や硬貨を目にすることが、極端に少なくなっている。 

 中国の都市はQRコードだらけだ。スーパーやコンビニでは、買い物客がスマホにQRコードを表示し、これをレジでスキャンしてもらい決済をする。自動販売機にもQRコードをかざして飲み物を買う。地下鉄やバスにもQRコードで乗車する。レストランのテーブルにはQRコードが印刷してあり、これをスマホでスキャンをするとメニューが現れる。ここから注文と決済ができ、食べ終わったら、そのまま帰ることができる。 

 日本でもLINE PayやPay PayなどのQRコードを使ったキャッシュレス決済が登場し、このまま普及をしていくと、中国のようにQRコードだらけの街になっていくのかもしれない。 

 ところが、中国ではすでに「脱QRコード」の流れが始まっている。 

2019年は「顔認証決済」元年

 現在、アリペイやウィーチャットペイは、ユーザー体験をさらに向上させるために顔認証決済の導入に力を入れている。2019年は顔認証決済が身近になる「元年」だとも言われる。 

 アリペイはすでに顔認証決済ユニット「蜻蜓(チンティン、トンボのヤンマの意味)を1199元(約1万8000円)で発売している。 

 アリペイ決済に対応しているPOSレジであれば、USB接続をするだけで顔認証決済が可能になる。すでにスーパーの「ロータス」、華南地区のセブン―イレブンなどが導入を決めている。利用客数に応じて最高1200元までの加盟店へのキャッシュバック制度が行われているため、客数の多いスーパー、コンビニでは実質無料で導入できる。 

 対抗するウィーチャットペイのテンセントも同様の顔認証ユニット「青蛙」(チンワー)を発売、スーパー、コンビニなどでの導入が始まっている。 

このような顔認証ユニットは、消費者、商店の両方にメリットがある。 

 消費者にとっては、財布もいらない、スマホすらいらない。レジの前に立つだけで決済が完了する。 

 スーパー「ロータス」では、以前のQRコード決済では1人あたりのレジ処理時間が5.6秒だったが、顔認証専用レジでは2.8秒に短縮したという。消費者にとっては、それだけ行列で待たされる時間が短くなる。 

 商店側では、レジ処理時間が短縮され、人件費を抑えることができるようになる。特に最近は人手不足が深刻であるため、採用数を抑え報酬を高くして人手を確保するのに顔認証導入が有効なのだ。

 

顔認証決済は消費者へのアプローチも変える

 また、顔認証決済の大きいメリットが優待施策を打ちやすくなることだ。従来は、日本と同じように紙、磁気、スマホアプリなどの会員カードを使って優待施策を打っていた。しかし、買い物客が提示をしてくれないことには優待のしようもない。 

 これが顔認証では、電子会員カードとなり、顔認証決済をするだけで自動的に会員の身分を把握し、優待クーポンなどは直接買い物客のアリペイアプリに配信できるようになった。 

 会員カードの処理作業が不要でありながら、購入データを精密に収集することができ、なおかつ個別に最適な優待施策を打ち、消費を刺激することができるようになる。 

 アリペイ、ウィーチャットペイなどは「QRコード決済」と呼ばれることが多いが、実はQRコードを介在させないネット決済の方がすでに多くなっている。 

 中国の調査会社iResearchが公表した「第三方移動支付2018年度データ報告」によると、2018年のオフライン対面決済(ほとんどがQRコード決済)の総額は21.4兆元(約323兆円)だったが、アリペイ、ウィーチャットペイなどによるネットの決済(QRコードを使わないオンライン決済)は29.1兆元(約439兆円)にものぼっている。 

日本は見失っている?キャッシュレスの本質とは

 アリペイアプリは決済アプリ、ウィーチャットペイはSNSアプリに分類されるが、すでに実態は生活サービスプラットホームアプリだ。 

 たとえば、アリペイアプリの中から、飛行機や中国版新幹線、特急列車などの時刻表、リアルタイムでの空席情報を検索することができ、そのまま予約を入れることができる。購入したチケットは電子チケットとなり身分証にひもづけられるので、そのまま空港や駅に向かえばいい。 

また、近所のレストランを検索し、メニューを見て注文、そのまま配達してくれる外売(フードデリバリー)も頼むことができる。水道光熱費、通信費などの支払いをしたり、税金を払う、交通違反の罰金を払うということがアリペイアプリの中できる。医薬品を購入しデリバリーしてもらう。病院の予約を取る。タクシーを呼ぶ。宅配便のピックアップを依頼する。 

 このようなことが、アリペイアプリひとつででき、支払いまで完結する。 

 アリペイ、ウィーチャットペイにとって、重要なのはこのような対応している生活サービスをいかに充実させるかであって、アカウント情報の交換にどのようなテクノロジー要素を採用するかはさほど重要ではない。 

 キャッシュレス決済の普及段階に合わせて、最適なものを適宜選んでいけばいい。普及期には設備投資が不要なQRコードを採用したし、普及をしたら、よりユーザー体験の優れた顔認証決済を採用していく。それだけのことであり、本質的には「QRコード決済」ではなく「キャッシュレス決済」なのだ。 

 アリペイ、ウィーチャットペイの関係者が口をそろえるのが「キャッシュレス決済は入り口にすぎない。その向こう側にいかに消費者にとって魅力的なサービスを用意できるかがカギ」ということで、ここを焦点にアリペイとウィーチャットペイ、そして銀聯(ぎんれん)も加わり、激しい競争をしている。 

 現金をただ電子に置き換えるだけでは意味はない。日本のキャッシュレス決済が中国に後れをとっているのは、普及率などではなく、この観点なのだ。 

CONTACTご依頼、お見積り等、お気軽にお問い合わせください。

お電話でのお問い合わせ

0120-915-935

受付:平日 10:00 - 18:00

メールでのお問い合わせ

お問い合わせフォーム